
SECRET DIAMOND
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山梨県は、日本における宝飾品生産の二割超を担う、貴金属産業の集積地です。
建主である柳澤商会は、明治40年創業の老舗企業であり、貴金属の企画・製造・卸を一貫して手がけてきました。本計画は、その新規事業として立ち上げられる、ダイヤモンドに特化した専門店です。
計画地は石和温泉駅に近接し、駅前通りからほど近い場所に位置しています。前面道路は石和温泉街へと連なるさくら温泉通りに接続し、周辺には旅館が点在しています。地域住民のみならず、観光客との接点も期待される場所です。
建主から提示された要望は、「ダイヤモンド専門店として、人に驚きを与える店舗としたい」というもの。
加えて、設計条件として、①素材感のある外観、②印象的な内部の壁面、③ダイヤモンドを際立たせるディスプレイ、の三点。
扱う商品がダイヤモンドである以上、建築の形態そのものが過度に自己主張する必要はありません。むしろ外形を単純化することで、仕上げ材の質感や存在感が前景化すると捉えています。そこで建物は、明快な矩形のヴォリュームとして構成しました。
外装材として最初に想定したのは自然石です。ダイヤモンドが鉱物である以上、その専門店に自然石を用いることには、素材論としての必然性があります。また自然石は重量を伴うため、外内装の仕上げ計画と並行して、構造形式の検討を進める必要がありました。内部空間についても、主題となる壁面の位置を起点に、展示、接客、動線を含めた全体構成を同時に定めていきました。
打合せの過程で建主から挙がったのは、「ダイヤモンドが採掘される岩盤のような壁を内部に設けたい」というイメージでした。これに対して提案したのが、左官技術による擬岩です。擬岩は、南アフリカのダイヤモンド鉱山を想起させる荒々しい表情を空間内部に持ち込むことを可能にします。この擬岩壁を店舗の中心に据え、その周囲に商品展示と接客の場を回遊的に配置しました。
外装の自然石には、石の大きさや色幅の差異が表情として有効に働く中国産の石英岩を採用しました。矩形ヴォリュームの一部を抉るように設けたポーチは、街路に対して明快なアプローチを形成すると同時に、出入口のドアおよびFIXガラス越しに内部の擬岩壁を視認させる装置として機能します。さらに、壁面と軒天には焼杉を用いることで、石と木という異なる素材の緊張関係をつくり出しました。
石英岩による外皮、焼杉に導かれるアプローチ、その先に現れる擬岩の壁面。
外部から内部へと連続する素材の構成によって、この建築は、ダイヤモンド鉱山を想起させる物語性を帯びた店舗空間として立ち上がっています。
所在地: 山梨県笛吹市石和駅前5-4
主要用途: 店舗/ダイヤモンド専門店
工事種別: 新築 S造平屋
建築面積: 99.58㎡
延床面積: 96.77㎡
設計: 豆政計
構造: 周設計
施工: 乙黒
擬岩: 壁左匠しらいし
写真: 日暮雄一/日暮写真事務所
竣工: 2023













